第1章
第1章 民びとの権利、自由、および義務

第1条【権利・自由の保持】
1 共和国のすべての民は、憲法が保障する権利と自由とをおたがいに尊重し、また不断の努力によって保持する義務を負う。とくに、国や自治体がそれをおかさないよう監視し、情報を開示させ、説明と責任をもとめ、また、それがもっとも弱い者にも平等に保障されるよう、最大限の関心を払うこと。
2 国や自治体は、この憲法が保障する自由と権利を、社会および法秩序ぜんたいで実現する義務を負う。

第2条【参政権】
1 すべての国民に、法律にしたがい、代議員に立候補し、また代議員を選挙する権利を平等にみとめる。
2 法律に定める期間、共和国に滞在するすべての外国人に、前項の権利をみとめる。ただし、国会議員の選挙に関しては、法律に例外を定めてよい。
3 代議員の選挙はすべて、成人による普通かつ秘密選挙によること。また、だれも選挙人に対し、その選択を理由に、弘的または私的に責任を問い、あるいは社会的不利益を与えてはならない。

第3条【弘務につく権利】
1 すべての国民に、法律にしたがい、弘務につく権利を平等にみとめる。
2 法律に定める期間、共和国に住むすべての外国人には、前項の権利をみとめる。ただし、国の機関での弘務については、法律に例外を定めてよい。

第4条【弘務員】
1 すべての国民に、弘務員をえらび、あるいは辞めさせる権利を平等にみとめる。
2 法律に定める期間、共和国に居住するすべての外国人には、前項の権利を平等にみとめる。ただし、国の機関については、法律に例外を定めてよい。
3 弘務員は社会全体に奉仕し、主権者である民びとへの責任を果たすこと。弘務員は、職務において憲法および法を忠実にまもり、誠実かつ公平であり、恣意によったり差別待遇を行なってはならない。また法律に例外を定めないかぎり、その職務内容は公開すること。
4 すべての人は、弘務員の違法行為によって受けた損害に対し、法律にしたがい、賠償を受ける権利をもつ。
5 弘務員には、その違法行為に関し、団体のみならず個人としての責任も、免除しない。

第5条【請願権】
1 すべての人は、国および自治体の権限をもつ部門へ、文書その他の平穏な手段により、請願し、あるいは異議や苦情を申し立てる権利をもつ。担当部門には、それを審査し、適切に対応し、文書により回答する義務を課す。また、これに対する違反および不作為は違法とする。
2 だれも、前項の請願や申し立てを行なった人に、それを理由に、差別待遇や社会的不利益を与えてはならない。

第6条【精神の自由】
1 共和国のすべての民は、個人・団体を問わず、思想、良心および宗教の自由と、それらを自由に表明する権利をもつ。この権利は、公開のものに関してのみ、かつ環境または心身の健康を保護する、あるいは交通を円滑に保つためにだけ、法律により制限してよい。
2 だれも、特定の思想、宗教、またそれらの活動への参加を強制してはならない。
3 共和国は、いかなる宗教団体にも特権を与えない。また、布教とみなされる行為や教育、および特定の宗教への援助は行なわない。

第7条【学問・芸術の自由、著作権、文化財】
1 すべての人は、学問・芸術・科学技術研究の自由をもつ。共和国はそれを保証・促進し、そこから得られる福利を民びとに還元する。
2 共和国は、学術的著作や芸術作品に対する、作者固有の権利を保障する。
3 共和国は、景観の美、および歴史・学問・芸術などの文化財を保護する。

第8条【表現・情報への自由、アクセス権】
1 共和国のすべての民は、意見、思想や情報をさがし、取得し、表現する自由をもつ。だれも、それを検閲したり、事前の届け出や許可を強いてはならない。
2 マスメディアは、公正かつ多様な意見を交流させる使命のためにのみ、法律で規制してよい。ただし、内容の検閲や編集への干渉は禁止する。
3 18歳未満の子どもによる、または子どもを対象とする表現や情報は、その権利または健全な成長を保障するためにのみ、法律で規制してよい。
4 1〜3項が保障する自由は、商業広告を対象としない。
5 弘文書その他、国や自治体の情報に関し、担当する機関は必ず、それを自由かつ容易に検索・閲覧できる状態で保管し、かつ一般に公開すること。

第9条【通信の自由】
 だれも、通信の秘密をおかしてはならない。その例外は、法律に定める場合に関して、裁判所が、実行する者と対象を特定し、またその者が、法律に定める手続きにしたがう場合のみとする。

第10条【プライバシー・個人情報】
1 共和国のすべての民は、私生活や家族生活の秘密を、尊重される権利をもつ。
2 共和国のすべての民は、個人情報の濫用から保護される権利をもつ。個人情報を記録し公開するための規則、および記録の事実を記録された人に知らせ、また訂正を受ける義務に関する規則は、法律に定めること。
3 前2項の権利と、第8条に定める表現・情報への自由との、相互に対する限界は、法律に定めること。

第11条【結社の自由】
 共和国のすべての民は、団体をつくり活動する自由をもつ。ただし、暴力行為をはじめ、憲法に定める民びとの権利や自由の侵害、あるいは民主主義の破壊を活動の目的ないし内容とする団体についてのみ、法律により制限してよい。

第12条【政党結成の自由】
1 共和国のすべての民は、政党を結成する自由をもつ。政党には、民びとが政治的な意志を表現・形成することに協力し、民びとの政治参加を実現し促進する責任を課す。
2 共和国は、民びとの多様な意志を反映するため、複数政党制を保障する。
3 政党の結成・組織・活動は、法律にしたがい、かつ民主的であり、とくに言論の自由を政党の内外において保障すること。
4 政党の財政は、公開すること。

第13条【社会生活権】
1 共和国のすべての民は、憲法に定める権利を実現し、自由と品位と尊厳をもって生活し、社会にその一員として参加し活動する権利をもつ。
2 国や自治体は、前項の権利を保障するため、富や資源が適正に配分されるようつとめること。
3 1項の権利を、自分だけでは実現できない民びとには、社会保障を受ける権利をみとめる。その条件は、法律に定めること。

第14条【男女平等】
1 共和国のすべての男女は、労働、収入、教育、婚姻、家族生活、財産、相続、その他社会のすべての局面において、完全に平等な権利をもつ。また、おたがいの権利を尊重し擁護する責任を負う。
2 国や自治体は、すべての男女を法の下で平等に取りあつかうこと。ただし、現実に起きている性差別を取り除くまでの間、法律に定める措置をのぞく。

第15条【子どもの権利】
1 子どもは、共和国そして世界の、未来そのものである。
2 共和国は、すべての子どもに、その人格を保護され、また自由な発展を支援される権利を保障する。
3 共和国は、すべての子どもに、憲法が保障する権利および自由を、その判断能力に応じて学び、行使する権利を保障する。
4 共和国は、すべての子どもに、必要ならば適切な協力者を通して、その意見を表明し、理解され、考慮される権利を保障する。国や自治体で専門的にその業務に当たる、子どもの権利弁務官等の規定は、法律に定めること。

第16条【お年寄りの権利】
1 お年寄りは、共和国そして世界の、歴史そのものであり、民びとに共通の未来である。
2 役所は、すべてのお年寄りに、適切にかつ定期的に更新される年金により、憲法が保障する権利を享受するのにじゅうぶんな生計を保障すること。また、その状況やニーズに配慮し、社会事業などの施策を通じて、その生活の質の向上につとめること。

第17条【障害者の権利】
1 共和国は、障害者、すなわち機能障害と外的障壁との相乗により、社会への参加および活動を妨げられるすべての民びとに、憲法に定める権利を平等に保障し、その享受に必要な援助を受ける権利をみとめる。援助を受けるための基準は法律に定めること。
2 国や自治体は、障害者に対し、前項の権利を保障するための条件および環境を整備すること。

第18条【少数者の権利】
1 共和国の民族・言語・文化的少数者に、少数であることを理由に差別したり、社会的な不利益を与えてはならない。
2 共和国は、前項の少数者に、固有の言語・文化・社会生活の様式を受け継ぎ発展させる権利を保障する。そこには教育や普及・振興活動への権利を含める。

第19条【家族・婚姻への権利】
1 共和国のすべての民は、婚姻を結び、あるいは家族を構成し生活する権利をもつ。
2 共和国は、婚姻において、両者に平等な法的権利を保障する。また婚姻の最低年齢は、法律に定めること。
3 家族における法的権利は、おたがいの尊厳と人格の尊重、および平等の原則にもとづくこと。どうじに家族内の弱者に対し、役所は、状況に応じた適切な援助を講じること。

第20条【環境権】
1 共和国のすべての民は、人格の涵養にふさわしい環境のもとで生活する権利、およびそれを保護し次世代に手渡す、共同の責任を負う。
2 すべての住民は、美しく快適なむら・まちに生活する、またそれを創造し維持する、固有の権利をもつ。
3 役所および事業者は、環境を保全し向上させる義務を果たすこと。この義務は、違反者への罰則を伴う法律に定めること。
4 国は、天然資源の合理的かつ計画的な利用、および地球環境保全のための国際機関の活動を促進し、またそれらの情報を民びとに公開し普及させること。
5 国および自治体は、動植物の保護、取り扱い、利用、輸出入、運搬などに関して、その基準を法律および条例に定めること。

第21条【居住する権利、移動の自由、住居】
1 共和国のすべての民は、居住する権利、および移転の自由をもつ。
2 役所には、民びとにじゅうぶんな量と質の住まいを確保する義務を課す。

第22条【健康・余暇】
1 共和国のすべての民は、健康な生活への権利をもつ。
2 役所は、民びとの健康増進をはかり、公衆衛生を向上させ、利用しやすさと質において、平等かつじゅうぶんな保健医療サービスを整備すること。
3 役所は、余暇活動がさかんになる条件を整備し、社会と文化の発展をはかること。

第23条【教育】
1 教育は、共和国の永遠の課題であり、未来への最大の遺産である。
2 共和国は、教育への権利および教育の自由を保障する。教育の目的は、国連人権宣言、国際人権規約、子どもの権利条約その他の国際人権法にしたがい、さらにくわしい内容は教育憲章に定める。
3 共和国のすべての民は、弘立学校で最低9年間の初等教育を、無償で受ける権利をもつ。また役所は、だれもが通学できる範囲に学校をおき、じゅうぶんな数と質の教師をもって、この権利を平等に保障すること。
4 初等教育は、生徒およびその保護者、教師、学校および市町村の、自治により運営すること。各市町村は、それらを調整し、必要な調査、研究、提言を行なう機関として、住民が選挙した委員からなる、教育委員会を設けること。
5 3項の権利が満たされている民びとは、私立学校や家庭で初等教育を受けてもよい。ただし、それらの教育は、法律にしたがい、また各市町村の教育委員会が定める基準を満たしていること。
6  初等教育以外の教育について、国や自治体は教育を受ける民びとそれぞれの志向にしたがい、最大限の支援と機会を平等に保障すること。
7 教育、学習、および学校におけるすべての活動は、隷属や苦役、また人格や尊厳を傷つけるものであってはならない。

第24条【職業をえらぶ自由】
1 共和国のすべての民は、職業をえらぶ自由をもつ。その例外は法律に定めること。
2 役所は、じゅうぶんな種類と量の雇用が確保されるようつとめ、それを民びとに公平に配分すること。

第25条【労働権・休息権】
1 共和国のすべての民は、能力と選択に応じて働き、必要に応じて休息する権利をもつ。またこれは、放棄してはならない義務である。
2 奴隷的酷使をともない、あるいは健康や尊厳を傷つけるような労働は禁止する。
3 すべての労働者は、労働の量と質に見合い、自己と家族の生存を支えるのにじゅうぶんな報酬を受ける権利をもつ。その基準は法律に定めること。
4 労働日および労働時間の最高限度、休息時間および年次有給休暇の最低限度は、違反する事業者および労働者に対する罰則をともなう法律に定めること。
5 役所は、労働時間と休息時間とが、民びとに、適正かつじゅうぶんに配分されるよう政策をたてること。

第26条【女子労働、子どもの労働】
1 共和国は、すべての女子労働者に、その採用・労働条件・報酬その他について、男子労働者と同等の権利を保障する。
2 法律に定める労働条件は、とくに労働者とその乳幼児に対して、育児手当、有給の育児休暇、保育サービス、その他、幸福な家庭生活を送るためにじゅうぶんな保護を保障すること。
3 子どもが働いてよい最低年齢、およびその例外規定を、法律に定めること。ただし、子どもを隷属させ酷使したり、同等の労働において成人労働者よりも不利な条件に置くことがあってはならない。

第27条【無業者・失業者】
 役所は、働く意志があるにもかかわらず失業し、あるいは仕事がなく、あるいはその技能がない民びとに、その生活、および弘的機関による教育と職業訓練の機会を保障すること。

第28条【労働者の権利】
1 共和国は、労働者の団結する権利、および団体交渉その他の団体行動への権利を保障する。
2 共和国は、労働者によるストライキ、および事業者によるロックアウトの権利を保障する。それらが許されない人や職業は、法律に定めること。
3 共和国は、労働者と事業者の共同決定への権利を保障する。その範囲や方法は、法律に定めること。

第29条【財産権】
1 すべての民びとは、私有財産への権利をもつ。法人の財産権は、その社会や民びとの権利・自由に対する影響の大きさを考慮しながら、法律に定めること。
2 財産権の行使には責任がともない、その影響がおよぶ社会ぜんたいの福利に反してはならない。そうした責任や制限の内容は、法律に定めること。
3 弘権力が私有財産を収用し、あるいは財産権を制限してよいのは、法律にしたがい、民びとと社会ぜんたいの福利に役立つことが明らかで、また社会と当事者の利益に照らして正当な補償が確証できる場合にかぎる。ただし、災害など緊急時については、補償が部分的に確証できる場合でもよい。

第30条【納税の義務】
1 共和国のすべての民は、国や自治体の正当な活動の財源、および民びとへの適正なサービスへの対価であり、公平かつ累進の原則にもとづく租税に関して、法律にしたがい、納める義務を負う。
2 役所は、税収を効率よく運用し、法律に例外を定めないかぎり、その使途内容を明示すること。

第31条【身体への権利】
1 法律および法律に定める手続きにしたがう場合を除き、だれの身体およびその自由もおかしてはならない。また法律に、身体の尊厳をおかす内容を定めてはならない。
2 明確かつじゅうぶんな説明に対して任意に表明された同意なしに、だれも医学的処置、および医学はじめ科学的実験の対象としてはならない。緊急時の例外については、法律に定める。
3 法律および法律に定める手続きにしたがう場合をのぞき、だれも特定の医学的あるいは保健的処置を強制してはならない。

第32条【奴隷的拘束・苦役の禁止】
 だれも、奴隷的拘束を行なってはならない。また、犯罪による処罰の場合をのぞき、意に反する苦役を強制してはならない。

第33条【裁判を受ける権利】
1 裁判所において裁判を受ける権利を、だれからも奪ってはならない。
2 国や自治体は、すべての人に、訴訟や請求、請願、異議や苦情の申し立て、裁判に関して、弁護、通訳その他の必要な援助を受ける権利を保障すること。
3 経済的な理由で前項の援助を受けられない人に、法律にしたがい、役所から必要な援助を受ける権利をみとめる。

第34条【逮捕の要件】
 現行犯として逮捕する場合をのぞき、権限をもつ裁判官が発行し、かつ逮捕理由となる犯罪を明示する令状によらなければ、だれも逮捕してはならない。

第35条【住居の不可侵】
1 だれも、第34条の場合をのぞき、正当な理由にもとづいて発行され、かつ捜索する場所および押収する物を明示する令状なしに、その住居、書類および所持品について、侵入、捜索および押収を行なってはならない。
2 前項の令状は、権限をもつ裁判官が、個別に発行すること。

第36条【抑留・拘禁の要件、外部通行権、無罪推定】
1 だれも、事前にその理由を理解可能な方法で告げ、かつ、弁護人を依頼する権利および機会を与えないで、抑留または拘禁してはならない。
2 だれも、外部との連絡がいっさい取れない状態で、抑留または拘禁を続けてはならない。
3 だれも、裁判で有罪とされるまでは無罪とみなすこと。ゆえに、その抑留または拘禁じたいが意味を失わないかぎり、どんな自由も 奪ってはならない。

第37条【不法拘禁に対する保障】
1 だれも、正当な理由なしに拘禁してはならない。
2 拘禁を行なってよいのは、司法機関の施設にかぎる。
3 要求があれば、拘禁の理由を、ただちに本人およびその弁護人の出席する公開の法廷で示さなければならない。また、裁判官がその拘禁を不当であると判断した場合は、ただちに釈放しなければならない。

第38条【罪刑法定主義、残虐刑・拷問の禁止】
1 法律および法律の定める手続きに従わない刑罰は禁止する。
2 非人道的あるいは残虐で、個人の尊厳をそこなう刑罰を、法律に定めてはならない。
3 役人による拷問は、絶対にこれを禁ずる。

第39条【生命への権利、死刑禁止】
1 すべての人は、生命への権利をもつ。
2 死刑は禁止する。

第40条【刑事被告人の権利】
1 すべての刑事事件において、被告人には、裁判所の公平かつ迅速な公開裁判を受ける権利を保障すること。
2 刑事被告人には、すべての証人に対して審問する機会を充分に与え、また、公費で自己のために強制的手続により、証人を求める権利を保障すること。
3 刑事被告人は、いかなる場合でも、資格を有する弁護人を依頼してよい。被告人が自弁で弁護人を依頼できないときは、国から援助を受ける権利を保障すること。

第41条【自己に不利益な供述、自白の証拠能力】
1 だれも、自己に不利益な供述を強要してはならない。
2 だれも、強制、拷問もしくは脅迫による自白、または不当に長く抑留または拘禁された人の自白を、証拠としてはならない。
3 だれも、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である人に、有罪を宣告し、または刑罰を科してはならない。

第42条【遡及処罰の禁止、一事不再理、例外規定】
1 だれも、実行の時点では適法であったか、無罪とされる行為について、刑事上の責任を問うてはならない。
2 だれも、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問うてはならない。
3 1項は、国際条約の定める人道に対する犯罪、および弘務員やその組織による犯罪を対象としない。また、これらの犯罪には時効をみとめない。

第43条【刑事補償】
 共和国は、抑留または拘禁されたのち、裁判で無罪となった人に、法律にしたがい、国から補償を受ける権利を保障する。
[PR]

by souansyuu | 2007-12-24 06:37 | 大統領制案



<< 前文〜第1章

第2章 >>